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2015年09月17日

母の刺し子、母と刺し子

ようこそ『寺嫁つれづれ日記』へkao1


母の刺し子、母と刺し子

これは、今年2月に亡くなった母が刺した刺し子の花ふきんです。

やっと、ゆっくり広げて手に取る気持ちになりました。


今日は私のひとりごとです。
気持ちを整理しながら、書きます。
長くなります。ごめんなさい。


母が亡くなって、すぐに娘の卒業、お彼岸、入学、お寺のことでバタバタして、実感のないまま今に至ります。
亡くなったことは理解できるけど、居ないのが信じられないというか、実感が持てないのです。
すっと離れて暮らしていたからでしょうか。



18歳で進学のために一人暮らしをしたのですが、仙台と新潟は意外に遠かったこと、サークル活動やアルバイトで忙しかったこともあって、なかなかじっくり帰省しませんでした。


高校を卒業して、唯一ゆっくり実家に居たのは、母が骨折して入院したとき、大学2年の夏休み。
1ヶ月新潟の実家にいて、毎日母に付き添ったときだけです。

そういえば、大学を出て働き始めてからも、ゆっくり帰らなかったなぁ。
とにかく疲れていて、休日だって模擬試験の監督だし、洗濯や掃除もあったし。


さらに、僧侶である夫と結婚してからは、お盆とお正月も忙しくなってしまいました。


だから、母とはいつも電話で話していました。

私が弱音を吐くと、母に叱咤激励されて、「ただ聞いててくれればいいのに!」って思ったこともあったな。
今となってはいい思い出です。

ところが、私は大人になり、反対に両親はだんだんと弱くなってきて、いつのまにか立場は逆転しました。
母は具合が悪くなって、それまでできていたことができなくなり、気持ちも落ち込んでいきました。

そこで、母を誘って始めたのが、刺し子です。

ふたりで簡単な花ふきんを縫ってみました。
母はもともと洋裁が好きだったので、すごく楽しんでいました。
さらしに既にプリントしてある生地を買ってくれば、ただ縫うだけなので気軽に始められます。
縫い目も細かくないので、ストレスフリーです。

母とたまに伊勢丹に行って、ホビーラホビーレ刺し子の生地と糸を買い、一緒に始めると、
「あれ、もう終わって、次のを始めてるよ」
「何色で刺したん?」
という具合に、共通の話題が持てたのです。

私は好きだったパッチワーク教室も行けなくなってしまったので、並縫いでOKの刺し子は私にもうってつけでした。
あとで知ったのですが、チクチクと運針するのは気持ちを鎮める働きがあるそうで、とてもいい気分転換になりました。


「離れているけど、同じ空を見ている」

…みたいな(笑)、刺し子は母といっしょに楽しんだコンテンツなのです。
ずっと離れて暮らしていて、共通のものに取り組んだのは刺し子だけです。


母が具合が悪くなっても、私はそばに居てあげられなかった。
電話が鳴っても、ゆっくり話せなかった。
助けてもらうばかりで、お母さんを助けてあげられなかった。
この花ふきんを、どんな気持ちで刺したのかな…。




そんなふうに思ったら、葬儀の後、母の刺し子の花ふきんを実家から持ってきたものの、広げることすらできなかったのです。


先日、だれもいない(と思いたい!)境内で、
ちょっと大きな声で「お母さん!」と言ってみました。

49日納骨も初盆も終わって、段階を踏んでご供養しているけど、やっぱり寂しい。
いくつになっても、自分の親の死は悲しいものですね。

忙しかったし、見ないようにして蓋をした感情にふれて、思わず涙が出ました。

それで。
…ちょっとスッキリしましたicon12


それで、やっと「どれどれ、どんなん刺したんkao2?」(←新潟弁)と刺し子の花ふきんを手にとったというわけです。

母の刺し子、母と刺し子


なんとなくここ最近は、母のことを考えてしまって、やるべき仕事もできずにいました。
でもこれで、またひとつ気持ちに区切りがついたように思います。


お彼岸、シルバーウィーク、書道教室、娘の新人戦、息子の保育園運動会、様々な事務処理、合同上げ法事の準備、

よ〜し、まとめてかかってこ~い!




長文を読んでいただいてありがとうございましたkao1







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Posted by チョコチョコ at 10:41│Comments(4)ひとりごと
この記事へのコメント
Blogを読ませていただいて、とてもジーンとし他人事とは思えなかったです...
私もチョコチョコさんと同じように過ごしてきました。
高校卒業後進学の為に酒田から仙台に行きその後結婚と同時に新潟に来ました。親元を離れてからゆっくり帰省することもなく、母が2度手術入院した時に付き添いで半月ぐらい滞在した程度です。
今は元気に父と暮らしてますが、老いてきてますのでこれからどうなるのか...今回チョコチョコさんのお話をお伺いし考える良い機会になりました。
「刺し子」これからも大切に、今度は娘さんと一緒にチクチクできますね。
長いコメントになりすみませんm(_ _)m
Posted by 元酒田娘 at 2015年09月17日 11:19
チョコチョコさん、こんにちは。
お返事ありがとうございました。
今日の記事‥ 胸に込み上げてくるものがあります。重ねる日々。進む日々。心の中に秘めた想いや感情を抱きつつ、立ち止まれないのですよね。
お母さまが亡くなられた直後の記事には、お声を掛けることも出来ませんでした。いま‥ チョコチョコさんの心情に触れ、ホッとしたと言いますか、共感出来るようにも感じました。
私も、十年少し前に父が突然死しました。孤独死でした。母は若年性アルツハイマーで施設暮らし。
私も18才で庄内を離れたまま‥後に結婚。夫の実家も遠くて、横浜で暮らす私達は、2年に一度ほどしか帰省できませんでした。子供達も、実家の父母と過ごしたのは、回数にして数回。延べ日数にしても‥30日位ではないでしょうか。
色々な意味で‥ 悔いも残ります。無念でもありますが、自分の中で、時間はかかったものの、やっと折り合いがつきました。
私も数ヶ月前から刺し子を始めたのです。『無心』になれるので、単純な運針縫いは、自分に合っているように思います。下絵が書かれた物も利用して愉しんでいます。

泣きたい時には泣き、夢中になれるものには、こころ躍らせながら、、
丁寧に過ごしていきましょうね。
お父さまとの時間‥ 大切になさって下さい。
Posted by nattemo at 2015年09月17日 14:52
>元酒田娘さん

 コメントありがとうございます。
 元酒田娘さんも、18歳で実家を離れたままで、同じような境遇なんですよね。
私は新潟から酒田へ。元酒田娘さんは酒田から新潟へ。そして、私たちふたりとも仙台を経由していたんですね!!親近感がますます湧いてきます。

 親がいつか亡くなるのはわかっていても、それを想像するだけで怖いし、どこか自分から遠い世界のことのような気がしていました。でも、いつかその日を迎えるんですね。迎えなければならない、と言ったほうがいいでしょうか。子供が親より先に旅立つことは、一番の無念です。ちゃんと、順番通りに親を見送ることができてよかったんだと、自分に言い聞かせています。

 今はやはり、ひとり残った父のことが気にかかります。たいしたことはできませんが、何より私が幸せであること、愛情をもって子どもを育てることで、父に安心してもらいたいと思っています。

 そして、なんとなく遠のいていた刺し子をまた始めようかと思っています。できたら記事にアップしますね!
 
Posted by チョコチョコチョコチョコ at 2015年09月18日 00:28
>nattemoさん

 本当に、いつもコメントをありがとうございます。nattemoさんは、お父様を見送られたのですね。そして、お母様とも離れた暮らしをなさっていて…。

 nattemoさんの『折り合いがついた』という言葉に、私は、心がストンと着地しました。そう、いろいろな思いに折り合いをつけていくんですね。

 時間がたてば忘れていく、辛い記憶も薄らいでいくのは、人間のいいところのような気もします。種の保存のため、前を向くように遺伝子にインプットされているのでしょうか??

 みんながいて、家族が笑っているのが当たり前じゃないことがよくわかりました。母の死に「あとからじわじわくるよ」と言われましたが、本当ですね。

 でも、泣きたくなったら泣いて、ちょっとスッキリして…というのを繰り返して、私も折り合いをつけていこうと思います。

 nattemoさん、ありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします。

 刺し子、始められたんですね!私も花ふきんばかりでしたが、コースターやセーブルセンターにも挑戦してみたいです。

 
Posted by チョコチョコチョコチョコ at 2015年09月18日 00:48
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