息子と私のネズミ事件②

チョコチョコ

2018年09月02日 13:28





 
(続き)



どうりでおかしいと思った。


なぜなら、それが「置いてあった」からだ。
なんだか、こう、…何と言ったらいいのか。
とにかく、きれいに横たわっていたのだ。
とたんに私はパニック状態になった。
一瞬のうちにいろいろなことが頭に浮かんで、それを一気に吐き出さずにはいられなかった。



それで、機関銃のように息子を質問攻めにした。




どうして?
濡れてたよ?
水の中で死んでたんでしょ?
何を使って水から出したの?
もしかして手でネズミを触ったの?
手は石鹸で洗ったの?
なんで手で触ったりしたの?




息子は固まってしまった。

カチンコチンに固まるとはまさにこのことだ。
こんなにいっぺんに問いただされて、答えられるわけがない。
でも、パニックになってしまった私は、どうしようもなかった。



 「お母さんが怒るような、悪いことをしたんだ」

ということを、息子は必死に飲み込もうとしていた。
そして、戸惑いながらごめんなさいと言ったあと、私に言われたとおりに、石鹸で念入りに手を洗っていた。




私はまだパニック状態を引きずったまま、ちょうど帰宅した夫に一連のできごとを話した。


そして、夫は呑気にこう言ったのだ。



「へぇ、なんでそんなことしたんだろう。」



なんで平気なの?ちゃんと私の話を聞いてた?あなたはいつだって…、
そう言おうとして、私は、はっと気がついた。




胸がどきどきしてきた。



そうだ、きっと、そうに違いない。





「息子と私のネズミ事件③」へ続く







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